【党文化の解体】第5章(2)

「鉄鋼生産を2倍に、10年でイギリスを追い越し、15年でアメリカを追い駆けろ」(大紀元)

【大紀元日本7月15日】

1.「共産党がなければ新中国はなし」
  2)異なる時期における模様替え

 「共産党がなければ新中国はなし」、多くの人はこの言葉はすでに何十年前のことだと思っている。しかし、中共の宣伝の下では、「新中国」は1949年が作り上げた「新中国」を意味するだけではなく、その後中共政権による異なる時期の中国を意味するものである。このスローガンは異なる時期においては異なる含意と表れがある。

 このスローガンは党文化宣伝の中の指導的思想であり、各種の具体的の宣伝内容はすべてこのスローガンを本に指導される。宣伝の中においては、各種の方法、各種のスローガン、各種の好いこと、各種社会現象に対する分析、皆「共産党がなければ新中国はなし」を証明するためである。

 ここで、このスローガンが各歴史的時期の中で如何なる方法で宣伝されてきたかを見てみよう。

(1)1949~59年 政権強固期

 文工団(文芸工作宣伝団)、稲植え踊り隊、デモ、スローガン、宣伝ビラの中で表現しているのはすべて「三座の大山を押し破り、中国人民が立ち上がり、解放され、これはすべて共産党の功に帰する」ということ。中共建政前による外来の侵略や中共自身の政権収奪のための各地での割拠政権の樹立により、長期にわたりもたらした戦乱局面は、まさに「旧中国」の「黒闇」から「新中国」の「優越」を引き立てようとしている。

 土地改革の中で「毛沢東は人民の大救世主」であり、「共産党しか中国を救えない」ことを宣伝した。朝鮮戦争のとき、「抗米援朝(米国に抗して北朝鮮を守る)、郷土と祖国を守る」、言わんとすることは共産党がなければ中国は滅亡するということだ。事実上においては、朝鮮戦争は金日成が自ら発動した対韓国の侵略戦争であり、国連の決意により関与され、その矢先は端から中国に向いていない。アメリカが中国を狙っていると言うような不相応な企図は中共自身による杜撰である。1950年秋林彪は持病を理由に戦場へ入ることを拒否したときに次のように話した。「アメリカは中国を侵略する意図がない、そうでなければ、3年間の内戦のときにすでに中国へ入ってきたはずだ」。これに対して、中共が50万人の犠牲者を出す朝鮮戦争の末に生み出したのは、百万人を越える自国の国民を虐殺した北朝鮮独裁政権であった。その一意孤行たる核兵器実験は却って中国の脅威となった。

 「白毛女」という様板劇が代表的な例で、各種形式の文芸作品は異なる角度から「旧社会」と「新社会」と対比される。旧社会とは、1949年以前のすべての歴史時期を指し、当然国民党統制期、北洋軍政府、清朝ないしもっと昔の古代を指す。これを旧時代とも称する。「万悪の旧社会」「新旧社会二重天」。1949年中共政権を境目にして、これより前は反動的、圧迫され、黒闇、搾取、愚か、災難、恐怖、不義であり、これより後は解放、光明、福利、美しい、文明、平和、正義……片方はまるで「天国」、もう一方はまるで「地獄」。中心となるものは、共産党がなければ「新社会」と「新中国」はないというものだ。

(2)1959~66年 「社会主義」建設期

 中共は「大躍進」及び「人民公社」運動中において、「1畝(中国の1畝=6.667アール)に万斤(1斤=500グラム)を産出する、鉄鋼生産を2倍に、10年でイギリスを追い越し、15年でアメリカを追い駆け」、「走って社会主義社会へ入る」、「全民鉄鋼生産」、「鉄鋼生産を綱要とする」、「大躍進、人民公社化、共産主義の実現は毛沢東の願いである」、「人民公社は共産主義の天国へ昇るための天梯である」と宣伝する。

「鉄鋼生産を2倍に、10年でイギリスを追い越し、15年でアメリカを追い駆けろ」(大紀元)

この種の宣伝は、共産党の指導の下で、中国が目覚しい発展により一つ一つの所謂「目標」を実現してきたこと、共産主義の実現もそう遠くないこと、中国が強国になるためには、共産党に依拠しなければならないこと、共産党がなければ、「共産主義」の「新中国」の実現はできないことを国民に信じさせようとしているだけである。しかし、今日に至っても中共が認めようとしないのは、三、四千万の人が餓死されたことを中共が「三年自然災害」と称している事実である。

(3)1966~76年 文革大革命期

 様板劇、毛沢東思想文芸宣伝隊、大字報(壁新聞)、映画、宣伝画、教材等々は全国的に推し進められ、「無産階級専制の下で継続革命」「全国山河赤に染められ」「全人類を解放させ」「無産階級革命事業の後継人」「革命事業のため存分に腕前を発揮する」「一切の搾取階級の旧思想、旧文化、旧風俗、旧習慣を大いに破れ」「一切の牛鬼蛇神(文革中に階級の敵とされ批判の対象となった各種の人々)を打倒せよ」「各文化領域を含む上部構造における無産階級による専制を実現せよ」などを宣伝する。名目上は革命を行うが、実際のところ共産党の指導を求めようとしているところである。この種の宣伝の根本の意思とは、いつでも、どこでも存在している「敵人」の「破壊と転覆」を常に警戒し、それを取り除かなければならない。そうでなければ、中国人はまだ「万悪の旧社会へ戻り」、「二度の苦しみを味わい、二度の苦労を被る」。共産党がもたらした「社会主義制度」の下での所謂「新中国」を強固し発展させるというものだ。

(4)1976~92年 専制統制下における経済改革開放

 1976年文革収束後、中共は「名誉回復」、「打倒四人組」、「十年動乱」、「十年の惨禍」、「四人組の手先、生き残った悪人」等等を鼓吹する。自己の統制が危機に直面し民族に対する瘋狂たる収奪と破壊を止めざるを得なくなったとき、社会各階層が蘇生し始めたとき、上記のような鼓吹により、党の「施政能力」を証明し、「誤りを正す」決心を証明する。党の「誤りを正し本来の正常状態へ戻らせる」能力を証明する。中国を混乱の局面から脱出せ、「新中国」を建設するためにはやはり党に依拠しなければならないことを証明しようとする。

 1979年後、中共は経済改革と対外開放を重点的に強調し始めた。その指導思想とは、共産党がなければ、経済上生活上におけるすべてのよい変化がもたらせないこと。マルクス・レニーン・毛沢東思想の下での経済・科学技術分野に対する強制的「指導」をあきらめた後、社会が停滞から発展へ、閉鎖から開放へ向かう変化の手柄を「党の第11期第3回全国大会」に帰させる。中共建政前の中国はずっと開放政策を実施し、中国社会が閉鎖的になったのは中共の一手によるものであるということが無視された。

 1989年以後、中共は「自由化」を反対し始めた。6・4虐殺の正当性を宣伝し、国民経済が中共による層々たる足枷から脱出せた後の蘇生や経済のグローバル化へ参加できるようになった功労を中共政権の合法性のための弁解材料とさせた。中共は6・4事件を機にして、混乱させるためのロジックを宣伝し、曰く、共産党が学生運動を弾圧しなければ、中国は崩壊へ向かい、混乱へ向かう。今日の発展も当然存在しない―言わんとすることはやはり中国は共産党から離れられないということだ。

(5)1992~99年 経済の発展期

 「GDP成長」「マクロコントロール」「発展こそ正しい道」「洪水と戦いの勝利」「オリンピック開催申請」「香港返還」「マカオ返還」「三講(党幹部は「学習」「政治」「正しい気風」の三つを重んじるべきだとする内容)」「人民の生活水準の向上」種々の宣伝により共産党の功績・恩徳を讃え、共産党が国の領土の保全を保ち、各種の経済建設中国の国際地位を高めさせ、人民の生活水準を向上させたことを讃える。結局のところ、中国の潜在的消費量、勤労な労働者及び過去何十年中共の中国の社会経済に対する破壊行為によりもたらした中国の廉価の労働力コストが、大量な国際資本の流入を促した。このほか、巨大な経済的コストの投入や、生態環境の破壊、社会モラルの低下を代価として求めてきた所謂経済の「高度成長」が、ある程度に民衆の物質的欲求に満足させた。中共はこれを機に、一切の功績は中共に依拠してはじめて得られることを鼓吹し続ける。

舞台(テレビ):「我党の英明な指導の下、またも大豊作となりました」。舞台裏:「農民は作物を上納するだけでなく、土地税、計画生育費、民兵訓練費などを納めなければならない」

(6)1999~現在

 「三つの代表」「法輪功批判」「平和的勃興」「八恥八栄(「社会主義栄辱観」と呼ばれるもので、胡錦濤が国民に提唱した文明的な国家建設を樹立するための道徳紀律のようなもの)」「和諧社会(調和の取れた社会)」「強国富民」「経済的奇跡」「先進性の保持」「サーズ(SARS)との戦い」「胡(錦濤)温(加宝)新政」「科学的発展観」……中共は各種のメディアを通じて大いに物質的消費による繁栄やGDPの成長を鼓吹し、お金持ちの生活方式を宣伝し、不動産や各種の建設プロジェクトの実施を宣伝する。中共による所謂「経済改革」は、本質的には喫緊たる社会的矛盾を緩和し、自己による統制を延命させるためであり、国家、民族の長期的持続的発展を求めているものではない。盲目的な経済の「高度成長」に伴ってもたらした弊害は社会の不満を引起し、例えば生態環境への破壊による汚染、自然資源に対する略奪と破壊による「百年に一度」乃至「千年に一度」の自然災害、農村と都市部、西部と東部の極端な不均衡状況による社会的格差、国家の長期の安定的発展の基礎―教育分野に対する長期的な低投資、医療分野の不合理的な政策、及び極端な物質的欲求へ追求するためにもたらした社会道徳の低下と腐敗等等。次から次へ出てくる新しい問題の中で延命措置を採るため、中共は大いに「和諧社会(調和の取れた社会)」「胡(錦濤)温(加宝)新政」「持続可能な発展」などを宣伝し、「科学」や「現代」と冠された所謂新単語を持って、現実社会に不満を持つ中国人の未来に対する希望を喚起しようとしている。中共は種々の社会問題を解決する「決心」があると言う偽りの姿を見せる:中国の問題は結局のところやはり「党」に依拠し解決するほかにない。

 同時に、中共は国慶大閲兵を大げさに行い、ネットや各種メディアで軍備の建設を宣伝し、台湾攻撃、日本攻撃を鼓吹し、大国の勃興、鉄血拡張、その意図するところは、共産党は中国の国力、軍事力の拡張を促進し、共産党による建政以来の各種の「良いこと」がなければ、今日の「新中国」の大国地位があるはずがないことを鼓吹しているものである。

 (続く)

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