【党文化の解体】第5章(3)

「共産党がなければ中国はどうなる?」に対し、人々は「汚職官吏打倒」「腐敗根絶」を訴える
(大紀元)

【大紀元日本7月22日】

1.「共産党がなければ新中国はなし」
 3)共産党がなければ、中国はどうなる

 「共産党がなければ新中国はなし」と言うスローガンが宣伝しようとすることは、すなわち共産党が中国人民を指導し輝かしい成果を収め、これらの成果は共産党の指導がなければ想像も尽かないというものである。共産党が良く宣伝している成果とは、民族の独立を取得し、中国人が立ち上がった。完備された国民経済を打ち立てた。十何億の人民の食の問題を解決した。強固な国防体制を作り上げた。原子爆弾と核弾頭を装備した潜水艦の保有、教育、科学技術、文化事業の長足の進歩を遂げた、等等のことである。

 事実上においては、中国の真の民族独立、世界四大強国としての一角の獲得、不平等条約の撤廃、台湾の返還は、それら皆は国民党政府が1945年にやってきたことである。これに対して、中共はその政権樹立前に分裂活動や内戦を行ってきた。政権樹立後には民衆を奴隷のように扱使い、政治運動を大々的に行い、臣服させるために民衆を逼迫してきた。

 中国の経済体系は中共の政権樹立前にすでに大した規模であった。中国江南造船所は、1918年アメリカに4艘の万トン級船を製造し、1920年3月に進水し、アメリカ運輸部の検査によると、品質は非常に良いと言う結果を下した。遼寧迫撃砲生産工場ではすでに1929年に、中国国産のはじめての自動車を生産した。そのほか例えばマッチ、ペンキ、工作機械、乃至軍艦、飛行機等々、現代的工業生産のものの多くは、国民党政府、北洋軍政府乃至清朝政府時期にその形がすでに出来上がった。

 中国人の「食」の問題と言ったら、一体誰が田圃を耕しているのだろうか。誰が建物を建てているのだろうか。誰が科学技術を研究しているのだろうか。結局のところ、農民、労働者、知識人などと言った一般大衆ではないだろうか。中共がやった仕事はどれだろうか。中国人民の衣食住と富は皆自己の努力によりもたらした結果であり、中共による賜物ではないのである。中国人民が必ずや明確に認識しなければならないことは、人民が中共政権を養っているのであって、その逆ではないということだ。しかし、中共の恥知らずなところは、人民の財産を全面的に収奪してから、人民自身が作り出した富のわずかの一部を返しているだけであるにもかかわらず、人民からそれを感謝させ、「党の英明たる政策を感謝」させることだ。

 異なる角度から言えば、経済学では、「機会費用」と言う概念がある。言わば、人がいろんな選択を行うとき、ある一つの選択肢を選択すると同時に必ずその他の選択肢をあきらめなければならないと言うこと。そのあきらめた選択肢は選んだ選択肢にとって、機会費用となる。中共が自己の「偉大たる業績」を鼓吹すると同時に、いつも縦向きの比較であり、横向きの比較はないのである。すなわちいつも戦乱年代と比較するが、平和年代と比較することはない。いつも言っているのは何ができたかであり、何ができなかったかを一切言及しない。もし我々が半世紀以来非共産国家と共産中国の異なる歩みを比較して見れば、次に事実を発見できる。もし共産党がいなければ、中国人は自己の智慧と勤労を下に(創り上げる)自由民主の中国は現状により何倍ものの輝かしい業績を成し遂げるかが想像も尽かないだろう。

 まず経済の事例を見てみよう。中共が何時も口にしているのは、中国は人口が多く、底(経済的基礎力)が浅いという。そうであれば、同様に人口が多く、底が浅く、しかし共産党の支配のない隣国日本の例を見てみよう。日本の人口密度は平方キロメートル当りの人口数は339.3人(1998年データ)である。およそ中国の3倍である。日本国土の71%が山地や丘陵で、土地も瘠せていて、資源も乏しい。自然条件はそれほど優れていない。第二次世界大戦後、日本は戦争の廃墟から立ち上がり、わずか30年もかからない内に、日本は戦争により経済にもたらした陰影から脱け出しただけでなく、伝統的強国であるイギリス、フランス、ドイツと旧ソ連を越え、アメリカに次ぐ世界第二の経済強国に成し遂げた。1955~73年、共産党が次々と政治運動を行い、天地がひっくり返されるばかりのとき、日本の国内総生産は18年連続年平均10%の成長率で成長し、「日本経済の奇跡」と称されるほどであった。

 インド人口は中国と同レベルにあり、中国と可比較性を持っているが、1980年代、中共による改革開放とほぼ同時に、インドは当時の総理であるインディラ・ガンディーの指導の下で、柔軟な自由改革を始めた。1991年から、インドはその改革を早め、1980~2002年インドの年平均経済成長率は6%で、2002~06年の年平均成長率は7.5%に達した。成長率の高さは中共が自称する8%に近い。インドの銀行の不良債権率はわずか2%に過ぎない。中国よりはるかに低い。ジニ係数は0.33であるに対して、中国の同期のジニ係数は0.5~0.6であると言われている。中国の経済成長は主として資源の高投入によるもので、インドのGDP成長は主として生産性の向上によるもので、資本や労働の投入の増加によるものではない。インドはある種の独特の、東アジア特に中国と異なる経済成長モデルを形成した。主に国内市場に依存し輸出に頼らない。消費に依存し投資に頼らない。サービス業に依存し工業に頼らない。高技術に依存し低技術に頼らない。専門家によればインドの経済成長モデルはより良く国民の福利厚生をもたらすことができる。

 軍事と国防も中共がよく口にするテーマである。古くから「兵者為凶器、聖人不得已而用之(兵は凶器なり、それゆえに聖人はやむを得ずしてこれを用いる)」という。「孫子の兵法」は次のように曰く:「不戰而屈人之兵、善之善者也、故上兵伐謀、其次伐交、其次伐兵、其下攻城(戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり、ゆえに上兵は敵の謀略を討つ、その次は敵の連合関係を討つ、その次は敵軍と衝突してこれを討つ、その下は城を攻撃する)」。中共は闘争の哲学から出発、何十年以来、ある種の戦争妄想狂の心理で絶えずに公然と「第三次世界大戦が不可避」「中・米間必ず一戦有り」を言触らす。実のところでは、外部の敵を作り上げることにより国内の矛盾を和らげようとしている慣用の統制のための手口である。本当に「革命輸出」に熱心に、至るところわざとトラブルを引起させ、ひたすら天下が乱れないことを恐れているのは、正しく共産党政権自身である。中共はじめての原子爆弾開発のための費用は約41億ドルと言われている(1957年価格)。ある人はこういう計算をしてみた。もしこの開発費用を食糧のために使うならば、なんと大飢餓の年代に餓死した四千万人を救うことができるという。もし国防の目的は国民を保護するためであるならば、この種の国民を見殺しのような国防の意義はどこにあるというのだろうか。やたらに武力を振り回し、国民の死活を顧みらずことを言わなくても、少なくとも作った武器を国民の前でひけらかすべきではないだろう。更に、共産党のない国では、まさか国防を行わないであるまい。

 台湾国立大学政治学部の教授明居正氏はかつて興味深く、啓発される仮定を行った。もし1949年以後の中国大陸政権が孫中山の遺訓に従い、三民主義の道を歩んだら、今日の中国の状況は如何なるものであろうか。

 「恐らく1949~52年の五大運動はなかったはずであるし、アメリカとの戦争もなかったはずである。米国中心による封じ込め政策を被れなかったであろうし、…大躍進運動も行わなかったし、この間の多くの出来事も発生しなかったはずである。三面紅旗、大躍進、人民公社、すべて出現しなかったはず。当然のこと3千万~4千万の同胞も死ぬこともなかったはずであろう。そして、当然のことも文化大革命も爆発しなかったであろう。1970年代から経済の発展は離陸し、国民の生活もどんどん豊かになっていく…」

 「もし三民主義に準じてやってきたこの政権は更にその統制が続くであれば、80年代に以後は、中国の経済の発展水準は、一人当たりGDPは4千~5千ドルに達したであろう。今日になって、恐らく米国のその半分に達したはずであろう。GDPの全体的水準は米国のおよそ二倍になろう。言うまでもなく、中国はすでに世界第一強国になったはずである。言い換えれば、もし中国大陸が共産主義の道ではなく、孫中山が示した道を歩んだら、今日になって、中国はもはや勃興し立ち上がったはずである。」

 中国古代では、「修養生息(知識を高め、品性を磨き、自己の人格形成につとめ、生活を営む)」。すなわち、政府は刑罰を軽減し、租税を減らし、賦役を軽減し、国民に休息させる。簡単に言えば、大衆運動を繰り返しに行わないこと。中国人は勤労勇敢で、社会が公正でさえすれば、大衆運動を行わないで、やみくもに指揮せずにさえすれば、国民は自ら富裕になるための方策を考えるからだ。中共自身の言葉でも、三年飢饉期何千万人が餓死し、文革終了時に国民経済は崩壊の瀬戸際にまで至ったという。もし中共がやみくもに指揮せずにしたら、中国は三十年前からすでに良い生活を送ったはずであった。現在、中共による専制、腐敗、浪費、及びこれらによってもたらした混乱な社会秩序と敗退した社会道徳は、すでに中国社会発展させるための桎梏となった。中共自身がすでに認めていたのは、毎年の接待費は2,000億元、公車消費は3,000億元、公費外遊費2,000億元、中国は「七五(第7次5ヵ年計画期)」~「九五(第9次5ヵ年計画期)」までの間、投資決定策の誤算率30%にあり、約4,000~5,000億元の浪費が生じたと世界銀行が試算した。呉邦国自身も言ったように、「わが国の最大の浪費は戦略政策の失策ほかにない」。このほか、各級党委員官僚数百万人、国民の税金をどれだけ浪費したのかはわからない。一般の国では、国民の税金は政府を養っているが、中国の国民は政府を養う以外に、膨大な欲深く満足知らずの党を養わなければならないのである。その故に中国の国民はこれほどの重荷に絶えられないのである。

 しかし、なぜ人々は共産党がなければ、中国はどうすればよいのかが分からないのであろうか。一つの理由は心理的問題である。共産党の洗脳により、党は民族と国家と一体ものであるという仮像である。党がなくして国家なし、まるで一度も母から離れることもない子供にとって、母が居ない現実は想像し難いもののようだ。しかし問題は、共産党は根から中国人民の母ではなく、逆に中華民族に強制的に付き添ったものである。今一つの理由は、中共は強制的にすべての社会的富と資源を収奪し、国民は中共に依拠しなければ国家を管理できない偽りの姿を作り上げたからだ。事実上、中共がなくても、中国人は依然として中国人として生きていき、中国は依然としてあるべき管理方法で管理されるはずだ。中国社会は、何千年も共産党のない社会としてそれまでの時代へ続いてきたではあるまいか。

 人々がこう言っているもう一つの理由は、共産党がなければ国家が動乱に陥ることを心配しているからであろう。そのため、動乱になるよりも現在のままでも我慢しようという心理だ。表面上においては、これは動乱を避けるための一つの手段であると思うかもしれないが、よく考えてみると、動乱の根源は正しく中共自身ではあるまいか。中共の統制は社会的矛盾を激化させ、社会的不満を抑圧させ、動乱は中共の統制下による歴史的必然であるといえよう。現在、中共の統制を維持することは、動乱を避けるどころか、動乱を速まる作用さえ働くのである。そして、動乱の破壊力を激化させるのである。今日の中国の各種の問題を解決するための糸口は、正に中共により封じ止められた。なぜならば、それらの解決方法は中共の統制にとって脅威であるからだ。共産党という要素がなくなれば、初めて公平で建設的に後顧の憂もなく中国の問題を議論することができるのである。改革は初めて正常な軌道に乗って全面的に行われるのである。従って、中共を解体することこそが当務の急であり、その他のことが順調に行えるための道則を作ることであり、その反対「共産党がなければ、中国はどうなる」のような問題に迷惑されるのではない。

 実のところ、「共産党がなければ、中国はどうなる」と言う問題自体は非合理的な問題である。二十世紀末には共産主義はすでに崩壊してしまった。中共の高官も共産党が「十年のうち」に崩壊すると言っている。2004年「人民日報」は声高らかに「共産党に更なる二十年を期待せよ」と題する社説を発表した。この題から逆に共産党自身も自己に対する楽観的な予測も精々二十年程度だと言うことが読み取れるのではないだろうか。人々も「二十年後には中国もきっと民主になる」とよく言ったではなかっただろうか。人々は共産党の崩壊に対してすでに共通する認識を持っている。そうであれば、「共産党がなければ、中国はどうなる」と言う問題は余計なことではないだろうか。

このように見れば、「共産党が崩壊するか否か」と言う問題ではなく、「如何に共産党を崩壊させるか」と言う問題である。更に明智な言い方は、「如何にして共産党を崩壊させても社会動乱が発生しない」ということが大事なことではないだろうか。革命的暴力的な手段は当然無理。暴力は新たな暴力を生むだけで、共産党の統制は人々の心理的文化的断裂をもたらし、人々が真に共産党について反省せしめて、初めてその轍を踏まないように済む。現在、中国で引起している「共産党脱退ブーム」は人々が想像し得る最良の手段であろう。脱退により崩壊させる過程は正しく民衆の覚醒の過程であり、強権中共がまもなく崩壊すると言う事実を受け止める過程であり、同時に各種の新生勢力の成長する過程でもある。その成長する過程において、自覚的に共産党の暴力と一線を引くという過程でもある。中国人の心が真に解放され、理性な心を持つ民衆が誕生して、中国は初めて真の平穏な過渡期を迎えることができるのである。

「脱党センター」(大紀元)

中共の崩壊を恐れている西側の政治家も少なくはない。その理由は、中共が崩壊したら中国で破壊的な動乱が発生し、それが世界秩序に衝撃を与えることを恐れているからだ。そのため、「世界全体が中共を支える」ことを希望し、中共のためにその政権を維持させようとする。これは非常に明智たる選択ではないということは明らかである。なぜならば、中共統制下の中国は必ず矛盾が出ており、その矛盾が爆発するときに更に大きな矛盾が発生し、そのときになったら後悔しても間に合わない。

 共産党がなければ、中国はもっと良くなる。共産党の下で、中国は結局どうなったのか。

 (続く)

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