【党文化の解体】第2章(10)2「柔順さと忍耐を批判する」

「わが党は一貫して正しい。六四天安門事件の路線で前進!」
(イラスト=大紀元)

しかし、中共はこれを極端にとらえ、それを階級圧迫と階級闘争であると描いた。それゆえ、中共は一切の尊卑と秩序を破ろうとしたが、これは実際やりようのないことで、いわゆる「解放」は、実際は「混乱」を作り出している。

 例を挙げて言えば、男女平等を主張する人が認めようと認めまいと、災難、疫病、飢饉、戦争の時に、婦女子や児童が真っ先に保護の対象になるものである。もし男女平等を主張するのであれば、婦女子も男と同じように対応しなくてはならないことになるが、それは完全に間違っている。

 タイタニック号が沈む時、婦女子と児童をもっとも優先的に救命ボートに乗せた。たとえ彼女たちの夫であっても、一人の男性として船と命運を共にしなければならない。この決定に対して誰も異議を申し立てる人はいなかった。これは私たちの内心では、男女間の絶対的な平等というものがないことを反映している。

 場を変えて、社会生活の中で尊卑を考えると、企業あるいは国家には政策決定者が必要であり、その決議は執行者が執行する。軍隊には司令官が必要であり、下級の司令官と兵卒はその命令を執行する。社会の職能から見れば、確実に「尊卑」の問題が存在するのであるが、それは剥奪や圧迫ではなく、上下間の「仁」と「忠」の美徳の関係なのである。

 これを家庭に当てはめた場合、父には「慈」、子には「孝」、兄には「友」、弟には「恭」があり、伝統的な倫理には自然と調和した秩序ある家庭と社会を形成する働きがある。

 しかし、「平等」は根本的に言って、仏法の中でいう「衆生の平等」であって、道家の「天道無親(天は特定の人をえこひいきしない)」、儒家の「有教無類」であり、西洋での「神の前では皆が平等」なのであって、これは機会の平等であり、決して結果の平等ではない。

 ところが、中共は「平等」を歪曲して宣伝し、社会に極度の混乱を引き起こした。「男女平等」に対する歪曲した解釈は、実は女性に対する迫害となり、彼女たちは耐えられないような仕事や適していない仕事への従事を強いられた。

 例えば、中共が 1976年 4月に出版した 『古い伝統観念と徹底的に決裂せよ』では、若い女性 15人の手記を掲載した。彼女たちの携わった職業は本来、男性がしなければならない石炭工、屠殺工、運搬工などで、「豚を解体する屠殺刀を堅く握りしめて、社会の半分を支えた」と賛美の対象になった。

 中共治下の社会は、同時にまた極度に不平等な社会だ。中共がすべての資源を独占したため、人民の公僕だと吹聴しておきながら、実際は人民全てが奴隷のようになり、政治的権利や経済的権利は無論のこと、官と民の間でさえ平等など到底いえるものではなかった。

公僕であるはずの共産党の役人が、主人である人民を奴隷のように扱う(イラスト=大紀元)

(続く)

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