中国の瞑想術 北朝鮮で広まるも当局は激しく弾圧

瞑想とゆるやかな動きで知られる中国の精神訓練法・法輪功は、北朝鮮の首都でも広まっていると伝えられている。しかし金正日政権政権は、近隣の中国から伝わってきた法輪功に対し弾圧を加えている。

ある情報筋がRFA(https://www.rfa.org/english/news/korea/nk-falun-gong-05172019164536.html)に語ったところによると、北朝鮮の首都・平壌市では、中国人の貿易労働者によってもたらされた法輪功が市内に広がったため、当局が弾圧を始めているとのことだ。

5月11日のRFAの報道によると、当局の予想を超え、法輪功を学習する平壌市民が急増しているという。

当局による取り締まりは、北朝鮮高官やその家族にも影響が及びかねない。しかし法輪功への注目は高まる一方で、多くの人々が魅了されている。

「法輪功は、北朝鮮においては瞑想・体操を組み合わせた宗教的実践法として知られている。人々は好奇心をもって近づいているようだ」と同情報筋は述べた。

同情報筋によると、法輪功は北朝鮮の政府高官やその家族の間でも広まっているという。

「法輪大法」という名でも知られる法輪功は、瞑想やゆっくりとした身体動作に基づく精神的な訓練であり、実践者は3つの主要な原則―真実性・思いやり・寛容―に従う。1990年代初頭に中国北部で始まった法輪功は、簡単かつ自由に学べるため、中国の国境を越え急速に広がっていった。

RFAの情報筋によると、北朝鮮当局は4月、法輪功に関する取り締まりを開始し、法輪功学習者に対して警察当局への報告義務を課した。

同氏によると「北朝鮮当局は、報告期間の後に発見された学習者に厳しい処罰を科すと脅迫している」という。また法輪功学習者約100人がすでに逮捕され、投獄されているという。

北朝鮮では、国民が霊的信念を持つことが容認されていない。そのため取り締まりが行われるのは驚くことではない。

米国に拠点を置くフリーダムハウスがまとめた、北朝鮮に関する最新の報告(https://freedomhouse.org/report/freedom-world/2018/north-korea)では、「宗教的信仰を実践する北朝鮮市民は逮捕され、労働収容所での投獄を含む厳しい処罰を受けている」、「外国人であっても、宗教活動家とみなされると逮捕や拘禁の危険がある」との指摘がなされている。

ある別の情報源は、北朝鮮が過去いかに他の宗教を迫害してきたか次のように説明した。
「朝鮮民主主義人民共和国労働党の中央委員会は、キリスト教はアヘンや麻薬のようなものであり、厳しく罰してきたと公言してきた。したがって北朝鮮の人々は、法輪功が北朝鮮に伝わった現在、当局がどのように対応するかを注意深く見ている」

同情報筋は、北朝鮮当局にとって法輪功の抑圧は容易ではないと考えている。

「中国政府でさえ法輪功には勝利できなかった。そして現在、法輪功は独裁政権国家・北朝鮮でも広がっている」

2017年に発表されたフリーダムハウスの報告書によると、中国政府による法輪功迫害は失敗し、数百万人の中国人が依然として瞑想を続けているという。

中国の法輪功学習者は依然として厳しい迫害を受けており、恣意的な拘禁・拷問・臓器摘出だけでなく、超法規的処刑の危険にさらされていると言われている。しかし同報告書によると、迫害による犠牲者の数は減少傾向にあるという。

訳 白洲一郎

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