看護師が転落死―武漢協和病院

【脱党支援センター2020年8月18日冉冉訳猪瀬晴久編集】 

7月29日(水)午前、武漢協和病院の臨床看護師・張堯婉(チョウギョウエン・28歳女性)さんが、勤務先の病院の階上から転落、死亡しました。警察の発表によると事件性はなく、自殺と思われるとのことでした。一方、張さんは、病院の実態について内部告発をしたことがあるため、他殺の可能性があるのではないか―とネット上ではささやかれています。

 1歳9ヶ月の子供と夫を残しての自殺は考えられない―というのが遺族である両親の想いです。

 張さんが発表した告発文(関係者が自由アジア放送局に提供)

 私は張堯婉と申します。「工号2-4487」中共党員です。武漢協和病院の隔離病棟で働いています。同僚の皆様にお願いします。私と一緒に要望を出して下さい。現部長の劉義蘭氏から、私たち臨床看護師を守ってくれる看護部長に替わってもらいたいのです。そうでなければ、今すぐ辞める方が良いと忠告します。

 この特別な緊急事態においても、私たち看護師は畏縮したことはありません。ある日、劉義蘭部長からDNA検査をするよう命じられました。この機器の操作についての講習などは受けておらず、正確にできないことを返答しました。すると、彼女は動画を送ってきたのです。「この動画を参考にして、手順にそってやってみてください」と言ってきました。

 医療現場において指示を出すのは、医師の勤めでしょうが、隔離病棟には、その医師がいないのです。日々の指示をインターホンによる遠隔操作で伝え、病棟内のすべてを看護師に行わせているのです。もちろん、たまにはチェックに来ますが、医師らはもっぱら感染の可能性が低い、オフィスの中で仕事をしています。

 隔離病棟の看護師は過酷な労働環境におかれています。少なくとも、毎日8時間はそこにいて、飲食もできない、トイレすら行けないのです。

 言い訳けをして、この非常事態における戦闘状態から逃れたいのでは、ありません。今も、職業意識をもって、最前線に立っているつもりです。しかし、自らを守る充分な装具を身に着け、危険に対峙できる本当の意味での戦士でありたいのです。徒手空拳で見えない敵に立ち向かう、無謀な戦士になりたくはないのです。このメッセージをすべての看護スタッフに転送してください。

 張さんの家族は、看護師長への面会を求めましたが、断られたそうです。

「病院の監視カメラは壊れていたとされ、当日、堯婉が家を離れ転落するまでの間に何があったのか、誰も知らないのです。病院の誠意ある対応を望んでいます。このままでは彼女が浮かばれません。その死を無駄にしたくはありません」と、家族は話しました。

「子供のいる女性が子供を見捨てる訳がないでしょう。どういうことなのか、詳細な調査をすべきですよ。監視カメラが壊れていたなど、理由にもならない」

「向かい側の病院の監視カメラも壊れていた?冗談でしょう」

「病院に勤務する者として、防犯カメラが壊れていたなど聞いたことがありませんよ」

「以前、しばしば患者を連れては監視カメラの所に行っていました。監視カメラの映像を見るには、管理者の許可が必要です。何か隠されたことがあるに違いないと思います」―ネット上には、疑問を呈するコメントが数多く見られます。

 このようなネット上の声に対し、地元政府と協和病院は情報を封鎖、病院関係者も一律に口を閉ざしています。

 そのような中、「張さんは、内科1号館の13階から落下して亡くなりました。しかし、転落防止のため、病院の高層階の窓は半分程度しか開きません。そこから落下するという可能性は極めて低いものです」と、協和病院の一人の医師が匿名で述べたそうです。

 湖北省救急医療担当官・呉氏は、自由アジア放送局の取材に対し、「張さんの言わんとすることは理解できますが、このような単純な方法では、望むような結果を導くことは難しいと思います」と、語りました。

「張さんは、共産党の体制にかなり不満を感じていたようです。その一方で党員であることも、強く意識していました。彼女の死が悲劇であることに違いはありませんが、党にとっては『反抗分子』ではなかったのかと思います。もし、脱党をしていたならば、このような結果にはならなかった…かも知れません。様々な理由―例えばコロナウイルスなどを口実にして、不満分子の処分を図る可能性があります。共産党の関連組織からの脱退を表明することが、予期せぬ災いから身を守るすべとなることでしょう」と、コメンテーターの諸葛明陽氏は、その見解を述べています。

『共産党についての九つの論評』 【第七評】中国共産党の殺人の歴史
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