【党文化の解体】第5章(5)

清の乾隆期から今日までの中国のGDPが世界のそれに占める割合(大紀元)

【大紀元日本8月12日】

1.「共産党がなければ新中国はなし」
 4)共産党は中国に何をもたらしたのか

(4)社会の富への略奪と無駄遣い

 眼下の中共は、毎年8%のGDP成長率を自己の政権の合法性の依拠としている。一部の都市は特殊政策と外資直接投資の導入により、街頭にびっしりと立ち並ぶ高層建物のような繁華景観を創り上げた。しかし、我々の眼を大都市から農村へ、沿海地域から内陸へ、既得利益者階層から都市の一般労働者階層と中国の人口の8割近くを占める農民へと移れば、貧困―驚くべき貧困―は依然として中国の恐ろしい現実であることを分かってくる。

 決して中国は以前からこのような貧困の社会ではなかった。清朝の中頃までは、中国の経済は世界においては重要な地位を占めた。清朝乾隆期の中国の国民総生産は世界の51%を占めていた。今現在の割合(4%)を遥かに越えていた。民国期の絶えずの戦乱にも拘らず、北洋軍政府は到底25%の経済成長率の実現を誇示した。もしそうであれば、一体中国の富はどこへ消えてしまっただろうか。

清の乾隆期から今日までの中国のGDPが世界のそれに占める割合(大紀元)

実は、その大部分は中共の略奪と無駄遣いによってもたらした結果であると言える。中共建政後、工商業の社会主義改造と農村の人民公社制度の実施により、民間の財貨や富は、わずか数年間のうちに中共の権力階級の手中に集中的に掌握され、曰く「公有制」。騙し取り力ずくの収奪は、これを超えるものはない。

 これだけではなかった。数十年来、中共の極端なほどの愚かしい政策と各級幹部の浪費、収奪により、大量の国民の財貨や富を無駄遣いし、根から国家を貧乏なものにしてしまった。例えば、中共建政直後に発動した所謂「抗米援朝(朝鮮戦争)」、戦争費用は500~600億ドルに達した。当時の国民総生産の半分がこの戦争に費やした。二十世紀六十年代の所謂「大躍進」運動、何千万人の餓死者を出しただけではなく、国民経済に与える直接的な損失は1,200億元(当時の価格、以下同様)に達した。十年間に及んだ文化大革命が、中国に与えた直接的な経済損失は少なくとも5,000億元に達した(無数の貴重な古書文化財の損失、思想禁固によりもたらす巨大な後影響、及び社会全体の道徳、法律秩序の崩壊、1千万世代が法律に基づかず家財が没収され、2千万人が批判され、酷い暴行を受け、数十万人が自殺すると言った計り知れないほどの間接的損失を含まない)、この数値は1949~79年の30年間のすべての社会的固定資産の合計を超えるものであった。毛沢東の「世界大戦は遅くやるよりも早くやったほうが良い」と言う指導思想の下での工業大移転―「三線建設」(※)によりもたらした経済損失は6,000億元であるという。

 八十年代以来の中国の経済発展は、正しく中共の経済に対する統制が緩和され、国民自らの勤労の結果そのものである。それは中共が誇示した「政治業績」ではあるまい。しかし、(中共は何らかの形での政策の実施により)この種の繁栄の裏には深刻な危機が潜んでいる。高エネルギー消耗型経済発展モデル、高失業率、日増しに拡大される貧富の格差(専門家による予測では、現在中国の都市居住者の所得格差を表す「ジニー係数」は0.5~0.6の間であり、国連が規定しているジニー係数の警戒数値を遥かに超えている)、大規模な国有資産の流失(中共自身が認めている2004年の流失額は3,512.2億元である)と汚職官吏による巨額資金の持ち逃げは(2004年8月16日付〔法制夕刊〕の報道によると、商務部初披露した数値では、目下中国は4,000余りの汚職官吏が行方不明となり、持ち逃げた金額の合計は500億ドルに達している)、脆弱な中国経済体系を崩壊の瀬戸際までに追い詰められつつある。更に泣きっ面に蜂のごときは、中共は一国の体力を注ぎ、法輪功に対する迫害を行い、天文学的な数字の国家財力を無実の主流民衆への迫害に使った。

外交手段、洗脳、610組織、労働改造、刑務所、華僑団体買収…一切の代価を惜しまず法輪功を消滅せよ(大紀元)

(5)道徳の破壊

 今日の中国人は、汚職腐敗、官・商結託、警・匪結託、風俗・賭博・麻薬の蔓延、ニセモノの横行、信用の危機等等社会道徳水準全体の低下の各種の表れにすでに慣れているのであろう。しかし、もう一つの道徳低下の表現形式が比較的掩蔽ではあるが、更に悪影響をもたらすのである。それは道徳を図る尺度そのものの低下である。人々は低下した後の道徳基準を自分の行いを測り、自分が他人よりマシであると思い込んでいる。実は、今日の中国社会の道徳水準はすでに崩壊の瀬戸際に陥ってしまっている。

官・匪結託(大紀元)

このような状況は正しく共産党の一手によってもたらしたのである。中共は人々に無神論、唯物論、進化論、弱肉強食の闘争の観念を教え込み、有神論と一切の正統の思想を批判し、中国人の道徳体系の根底からその破壊をもたらした。共産党の認識によれば、道徳は上部構造の一部であり、結局のところ、支配階級のための道具に過ぎないであるため、普遍的道徳基準を否定してしまった。中共は声高らかに「法治」と叫ぶが、まるで目下の種々の社会状況は法整備が不完全のためだと言う錯覚を与える。実のところ、法治の基礎となるものは道徳である。如何なる道徳的束縛を受けない人間にとっては、法律があっても遵守しなくてもよいと思うだろう。中共自身も法律を架空されたものにし自ら法律の実施を妨げ、その上善良な民衆を迫害するため悪法を制定する。中共は嘘偽りを制度化にし、官僚たちはしゃべることと実際にやることとを別ルートにしている。そうでなければ、官界で生きていけない。庶民はこれを見てその意を心得ている。食べなければ損、もらわなければ損、あなたはクロ私はもっとクロ、社会風紀は一気に一日千里で低下してしまった。

 管子曰く:「礼儀廉恥、国之四維;四維不張、国乃滅亡(礼・義・廉・恥の四つの道徳は国家を維持するのに必要な四つの大綱であり、この四つの大綱がしっかりしなければ、国乃ち滅亡する)」。武力と金銭を盲信する中共は、道徳や人心がもたらす長期の太平と安定作用を到底理解できないだろう。人性の中の悪の面が今日の中国社会において極めて複雑になって現れている状況の下では、施すべき策がない。歴史上においては、外敵の侵入により中華民族に滅亡する如きの危機をもたらしたと言うならば、今日、中共によりもたらした人心の全面的失堕の現実は、中華民族に更なる恐怖すべき、前代未聞の危機を直面させている。

(6)文化の壊滅

 共産党は三教(儒・釈・道)を一斉に消滅させ、簡体字の使用で中華文化を断ち切り、狂気の沙汰の文化財の破壊、知識人への迫害、文化大革命後、伝統文化はほとんど潰されたが、中共はそこから一部の表面的文化的内容を持ち出して、外観を飾り金儲けばかりをやる。このことについては、「共産党についての九つの論評」と本連載の第一、二章の部分はすでに詳細に議論したので、ここでは紙幅を惜み、更なる議論を割愛させておこう。

 中国の歴史上においては、度重なる外敵の侵入を蒙った。例えば、日本が発動した侵略戦争は、2,000万を超える死者(軍兵と一般庶民を含む)を出し、600億ドルの直接的経済損失をもたらした。しかし「人民のために服務する」と自称する中共、「最も広大な民衆の根本的利益を代表する」中共、その中共が中華民族にもたらした深刻な傷害は、日本の軍国主義を遥かに超えるものであった。そして、歴史上において如何なるとも外敵による侵入によりもたらした傷害を遥かに超えるものであった。

 多くの中国人は中華民族の正統たるものを自負し、外国人の前で堂々たる大国の風範を示す一方、もう一方、共産党のイメージを極力維持しようとしている。他人からの批判を少しも許そうとしない。彼らは恐らく意識していないかもしれないが、中華文化を残害した元凶は、正しくこの天地と戦い、血塗れ貪欲、売国家財(国民の富)を潰し、悪行の限りを尽くした共産党そのものである。彼らはもし真に国を愛しているであれば、まず共産党と群することを拒否することである。共産党がなくなってこそ、新中国が生まれてくるのだ。

 ※:1964年毛沢東が下した政策。三線とは、戦争の危険性が高い沿海部、東北部を一線とし、戦争の危険性の低い内陸部を三線、その中間を二線とし、中国が全面的核戦争に突入することを想定した上で、万が一沿海部が壊滅状態に陥っても、内陸で抗戦できるように、内陸に軍需工場を建設し、さらに、沿海部の工場、技術者を戦火から避けるために、内陸に移転させ、後方基地建設をすすめたのが三線建設であると言われている。

 (続く)

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