三字経本文注解(一)【動画】

1:人之初,性本善,性相近,習相遠。苟不教,性乃遷,教之道,貴以專。

(日訳)人は生まれ落ちた当初には、その天性は皆が善良であり周囲の人や事柄にも十分に友好的である。しかしながら、成長するに及び、家庭の教育や外界の各種要素などの影響によって、本来はその天性において近かった人も、だんだんとそれぞれ異なった性格と人格が形成されてゆく。

 子供の幼年期に教育を施さなかったならば、その善良な天性はだんだんと変質し始める。子供を教育するにあたっては、その本性を伸ばすだけでなく、その子供が専心して事をやり抜くこととゆるめないよう指導することが必要である。もし父母が子供にそう要求しないのであれば、教育が良い作用を起こすことは望めない。2:昔孟母,擇隣処,子不学,断機杼。竇燕山,有義方,教五子,名倶揚。

 戦国時代の昔、孟子の母は子供の教育の為に良い環境を与えたいものと思っていた。最初に親子が住んでいたところは、墓地の隣であった。すると幼い孟子は葬儀と法事の真似をしていたので、母は良くないと思い引っ越した。次に住んだ所は、屠殺場の隣であった。すると幼い孟子は動物を殺しては肉を売る真似をし始めたので、母はまたよろしくないと思い、再度引っ越した。次に引っ越した所は、学生街であった。すると孟子が勉強し始めたので、それで母はよしとした。ある日、孟子の母は、孟子が勉強に専心していないのを看て、一家の生活の糧である機で織った布を途中から裁断し、途中で物事を投げ出す愚昧を諭した。

 五代時代の竇燕山(禹鈞)は若い時,心が邪で悪のかぎりを尽くして財を成したが,三十歳になっても子供がなかった。そこで以前の非を悔い改め全ての財を投げ出して,貧 しい家の子弟の教育のために尽力した。その後,五人の子が授かり,彼らに対して厳格かつ適切な教育を施した。子供たちは皆科挙に及第し天下万民のために尽力し,その名を後世に残した。

Q:問題討論

1.あなたが文中で認識したところの人の最初の「天性」とは何か?

2.あなたが認識しているところの「学」の概念とは何か?本課で学習したこと以外に何か他の意味があるだろうか?

3.後天的に出遭った出来事や学んだことは、私たちによい影響を与えているのだろうか、それとも悪い影響を与えているのだろうか?あなたの見方を皆と分かち合ってみよう。

4.人が自らの善良な本性を保持するにはどうしたらいいのだろうか?あなたの認識はどのようなものか?

5.あなたは「専」の一字を如何に認識しているのか?どうして「専」の一字はそのように重要なのか?   

翻訳 斎藤 猛

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