
まもなくアバ・ラマがウェンシーに告げた。「怪力君、君も準備しなさい。私たちも出立することとしよう」
アバ・ラマは家中にあった財産を洗いざらい、黄金、玉石、日用品等、そしてあらゆる仏像、経文、法器の一切をもっていくことにした。マルバ師父が賜ったもの以外、一切合財をもっていくことにしたのである。ただ、一匹の老いて痩せた羊は性情がよくなく、足手まといになるので置いていくことにした。
「怪力君!」、アバ・ラマが緞子をウェンシーに与えて言った。「君はいい弟子だ。君はこの緞子を師父に供養したらいい」
「ダメマ師母には、これを供養したらいいですよ」。アバ・ラマの奥さんが、ウェンシーにチベット・バターを渡した。
マルバ師父の祝賀会では、ラツァゥ谷のすべての大衆と弟子たちが参加し、皆が一同に会して、マルバ師父の長男の新宅落成と成年を祝った。
皆が祝賀の宴を終えると、アバ・ラマはもってきた一切合財をマルバ師父に供養し、恭しく言った。「先生、このたび私は、痩せて老いた羊以外、一切合財をもってきて先生に供養しました。ですから、どうか道の奥義にあたる灌頂と口訣をお授けください」
「ああ、あの奥義にあたる灌頂と口訣か。あれに沿って修行すれば、即身成仏となれる。口訣のなかでも最も最たるものだ」。マルバ師父は笑って続け、「もし本当に法を求めるなら、その年老いた羊が何の役に立たなくても、それをもってこないという話なら、全部を供養したとはいえず、その口訣は伝えられないな。その他の口訣なら既に全てあなたに伝えてあげたよ」
「あの老いた雌羊をもってくれば、法を伝えてもらえるのでしょうか?」とアバ・ラマが聞いた。
「その羊を手ずからもってこい!そうすれば法を伝えよう」、マルバ師父が答えた。
あくる日、アバ・ラマは一人戻ると、その羊をみずから背負ってきて師父に供養した。
マルバ師父は、非常に喜んで言った。「よし、よし!このような心があれば、成就しない事などありえようか。君のような弟子は、行為の上から、法を求める心というものを表現しておる。これが重要なことなのだが、君は財産を洗いざらい供養した。これは法に対する至誠と敬重を表している。でなければ、そんな年老いた羊など、私に何の用があろうか」。師父は言い終えると、アバ・ラマに口訣と灌頂を施した。
数日が過ぎ、皆が一堂に会して法会をしているとき、マルバ師父は憤怒の表情で上座に座っていた。彼は棍棒を傍らに置き、ドングリ眼をまん丸くして見開き、アバ・ラマを睨み付けると、怒声を放った。
「アトンチャンバ!おまえ何の許可があって、そのような自分勝手なことができたのだ」。彼は言いながら、傍らの棍棒に手を伸ばした。「言ってみろ!どうしてウェンシーのような大悪人に灌頂をしたのか」
(続く)
(翻訳編集・武蔵)
転載 大紀元 https://www.epochtimes.jp/p/2021/04/71630.html
アメリカ (140) ウクライナ (233) コロナウィルス (158) スパイ活動 (166) トランプ (338) バイデン (344) バイデン政権 (161) ポンペオ (173) ロシア (340) ワクチン (318) 上海 (209) 中共 (2948) 中共ウイルス (570) 中共当局 (332) 中共軍 (188) 中国 (2071) 中国企業 (150) 中国共産党 (1319) 中国崩壊 (149) 中国当局 (147) 中国経済 (285) 中国製 (155) 人権侵害 (333) 伝統文化 (236) 北京 (239) 北京五輪 (180) 南シナ海 (151) 台湾 (841) 台湾海峡 (148) 封鎖 (154) 抗議デモ (147) 新型コロナウイルス (196) 新疆ウイグル人 (208) 日本 (540) 法輪功 (349) 法輪功学習者 (200) 洪水 (202) 災害 (196) 疫病 (174) 米国 (951) 習近平 (932) 臓器狩り (257) 軍事 (220) 迫害 (217) 香港 (482)