中国の元ネット監視員の劉力朋さんは2020年6月29日に米国で大紀元と新唐人テレビの取材に応じた(大紀元)
【脱党支援センター 2020年7月12日】
「今現在、大紀元の記事を検閲している監視員に対して、中国共産党の共犯者にならないでくださいと言いたい。自由と民主主義側に来てください!」
中国版ツイッター、新浪微博や動画配信サイト「楽視視頻」のネット監視員として日々、検閲を行っていた劉力朋さんはこのほど、米国で大紀元と新唐人テレビの取材に応じた。劉さんは、中国当局は国内で言論統制を強化し、世論を支配しているだけではなく、現在、国際社会の言論の自由も脅かそうとしていると警告した。
劉さんによると、中国共産党政権のネット検閲体制は非常に膨大で複雑なシステムだ。劉さんは、中国当局の下請けの検閲専門民営企業で約10年間勤務した。民間企業の監視員の人数は「100万から200万人おり、ネット評論員の規模とほぼ同じ」だという。
監視員とネット評論員の違いは、前者は企業またはプラットフォームが雇ったネット管理員で、プラットフォームの規約を執行することにあり、後者は共産党体制内部のメンバー(公務員、党員、党幹部など)で、なかには服役している囚人もいる。ネット評論員は、中国当局の命令を執行し世論操作を行う人を指す。
監視員の日々の作業の大半は、政治言論の検閲を除き、サイト管理人としてネット上の嫌がらせ行為や迷惑行為も取り締まっている。
中国ネット検閲当局、国家インターネット情報弁公室とネット警察は、監視員らを直接管理している。しかし、実際のところ、当局は監視員すら信用しておらず、各会社に常駐する連絡スタッフが監視に当たっている。農業農村部(省)などの政府機関が直接、ネット上の書き込みの削除を指示することもある。
北京市は、当局のネット検閲の中枢だ。インターネット関連企業の監視・検閲業務の上級管理部門はすべて北京市に設けられている。ただ、検閲の現場は、北京以外の各地にもある。北京市のほかに、天津市や西安市、重慶市も重要な検閲の拠点となっている。
劉さんによれば、中国のネット検閲システムに「危険度の高い検索ワード」がある。ネットユーザーの書き込みに、これらの検索ワードが入っていれば、システムが直ちに書き込みを削除する。その後、監視員が削除されたかどうかを目で直接確認する。
「危険度の低い検索ワード」のネット投稿も、監視員は必ず内容を審査しなければならない。
当局は、検閲業務を民間企業に委託しており、監視員の給料は「悪くない」という。民間企業に委託するほうが、中国当局にとって経費の削減になる。当局が民間企業の監視員の代わりに、ネット警察を200万人雇えば、公務員としての福利厚生や退職金を支給する必要性が生まれ、膨大な支出になるからだ。
ネット検閲が「空前絶後」のレベルに
劉さんは、近年、中国当局が国内の言論統制をますます強化していると感じている。胡錦涛政権では、チュニジアで起きたジャスミン革命などのような集団抗議事件が当局のネット検閲の主要対象であった。当時、(共産主義の)イデオロギーに関するネット投稿に対して、「それほど重視しなかった」という。しかし、現在、中国当局によるイデオロギー面での取り締まりが「空前絶後」のレベルに達している。
現在、テレビドラマの中で描写される恋愛観や結婚観でさえ、共産主義のイデオロギーを反映しなければならない。ただ、取り締まりが厳しければ厳しいほど、中国国民の反発が強くなっている。「今、中国共産党を『支那』と罵る人が増えている。人々の怒りはますます高まっている」
インターネット上、「ピンクちゃん(若い愛国主義者)」による共産党支持のコメントがあふれている現状について、劉さんは、中国当局が慎重に選んだコメントを掲載した結果だと話した。
劉さんが10年前に検閲の業界に入った時、監視員の資格に「共産党員」は求められなかった。今、中国当局が監視員を募集する際、応募者に絶対的な共産主義思想を要求している。また、「前と違って、当局は今、オープンにネット検閲の人員を募集しているだけではなく、応募資格に「大学卒業者」と限定している。
中国の若者は、幼稚園から大学まで当局による洗脳を受けているため、監視員のなかに共産主義のイデオロギーの狂信者が多い。新しいスタッフが入ってくると、先輩である劉さんらは、かえって彼たちにネット上のコメントを過剰に削除しないように指導しているという。
「同僚たちが、当局に逮捕された人権派弁護士と、その妻や子どもの境遇に全く同情を示さなかったことに、とても悲しくなった。実に、監視員というのは、警官に銃を突きつけられながら、最も汚い仕事をしているのだ」
天安門事件と法輪功は「最大なタブー」
中国当局が、1989年6月4日に民主化を求める学生らを武力鎮圧した「天安門事件」と、伝統気功グループ、法輪功への弾圧は、当局にとって最大のタブーである。ネット検閲当局は常に、「天安門事件」と「法輪功」の検索ワードに目を光らせている。
毎年6月4日の前後、当局が一段と取り締まりを強化するため、この期間中に監視員に対して休暇を取るのを禁じている。
「この業界に入ったばかりの頃、造語などを使って天安門事件を記念するネットユーザーが多かった。最近、このような人がますます少なくなっている。当局の情報統制と洗脳の下で、自己検閲をする人や、天安門事件に無関心となった人が増えたのだ」
法輪功に関する書き込みも、天安門事件と同様に、監視員たちは、ツイッターの「シャドウバン(shadow ban)」のように密かに削除を行うのではなく、ネットユーザーがわかるように削除を行う。それでも、ネットユーザーが書き込みを投稿し続ければ、監視員らはユーザーアカウントの凍結措置を取る。
言論統制が海外にも拡大
劉さんは、約2年間、新浪微博の投稿を検閲・監視していた。しかし、ネット検閲に嫌悪感を強く抱くようになった劉さんはその後、米国に渡った。2016年、劉さんは、匿名で国際非営利団体のジャーナリスト保護委員会(CPJ)の取材に応じ、新浪微博の検閲体制に関する業務日報を数百枚提供した。
劉さんは渡米した後、中国当局のネット検閲の触手が米国社会にも伸びていると気づいた。直近の事例として、今年6月、米オンライン会議サービス、Zoomが中国当局の要請に応じて、天安門事件に関するオンライン会議を強制的に終了させ、在米の人権活動家のアカウントを一時停止したことが挙げられる。
また、ツイッターを利用している一部の中国人ユーザーは6月1日、アカウントが凍結され、またはリツイート、コメントの投稿などの機能が利用できなくなったと大紀元の取材に訴えた。中国人ユーザーらは、6月4日は天安門事件の31周年記念日であるため、中国当局がツイッターに対して言論統制を行うよう求めたのではないかと推測した。
劉さんは、ツイッター側が理由を説明せずにユーザーアカウントを凍結したことが、自己検閲を助長すると懸念した。「ユーザーが自分のアカウントが封じられることを心配し、あるいは自分の投稿が削除されるのではないかと不安になった時、実はもう自己検閲を始めたのだといえる」
劉力朋さんは、中国当局のネット検閲体制はすでに民主主義の国にも浸透した可能性が高いと指摘した。
米シリコンバレーのIT大手は今、人工知能(AI)技術を使って、ネット上の投稿や情報を監視している。ツイッターは5月、中国出身でAI技術者、李飛飛氏を独立取締役に起用した。李氏は中国当局と深いつながりがあるとみられている。
劉さんは、「李氏の取締役就任よりも、ツイッター社内にどれほどの中国人技術者がいるのかに注視すべきだ」と話した。親中国共産党の中国人技術者が多ければ多いほど、欧米企業が赤化されるリスクが大きくなるからだ。これによって、中国のネット監視員が世界中のソーシャルメディアを検閲し始めた時、民主主義の世界は「壊滅的な打撃を受けるだろう」。
「元同僚や他の監視員に、ネット検閲や言論統制に関する資料や証拠を提供するよう呼びかけたい。より多くの人が立ち上げれば、遠くない将来、中国共産党の崩壊が期待できそうだ」
転載大紀元(記者・李新安、翻訳編集・張哲)
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